2011年03月22日

東北関東大震災

東北関東大震災から10日たちましたが、大変な一週間でしたね。
私事が忙しくてブログの更新をすっかりサボっていましたが、大事件なので久々に記事を書いてみることにします。

以前にリーマンショック後に書いた記事、2008年10月11日「真の暴落では平時の常識は通用しない」、2008年10月12日「究極のタラレバでは、次は数十年後かなと書いていますが、3年も経たずにまた来てしまいましたね。
思った以上に、ブラックスワンはたくさんいるようです。

今回の暴落でプット売りで多額の損失を出してしまった人が多数出て問題となっているようですが、これって毎度繰り返されていますよね。
このブログでもその辺のリスクについては以前からいろいろと書いているんですけどね。(まあ、このブログはマイナーなのであんまり影響力は無いかな。)
例えば、
・FOTMのショートストラングルの危険性について
  2008年03月08日「案外難しいショートストラングル
・IVが急騰するときのレシオの危険性について
  2008年09月23日「私が屑OP屋になった訳
・板が薄いときの成行き注文とミスプライスの証拠金への影響について
  2009年04月12日「成行注文と流動性リスク
とかですね。
このブログを読んで、少しでも多額の損失を出す人が減っていれば嬉しいのですが。


そういえば、私の損益が今回どうだったかについて知りたい人もいるみたいなので、ついでに書いておきます

私の普段のポジションは屑OPを多めに持っているので、こういう暴落のときは爆益になるはずだったのですが・・・

今回はたまたま、私事が忙しかったことと、2011/2/14の大証のJ-GATE化で取引環境がどうなるか分からなかったのでその時にポジションをかなり縮小(先行きが不透明なときにポジションを縮小するのはリスク管理の基本だし)してしまっていたので、めずらしく地震の発生時にはほとんどノーポジの状態で傍観者(ほとんど損益無し)でした。

まあ、「機会損失は損ではない」と考えることにしているので、とりあえず気にしません。(ブログのタイトル通り、生き残るのが第一ですから。)
今回損失を出してしまった人も、生き残ってさえいればそれ以上の利益を得る機会もあると思うので、がんばって行きましょう
posted by ガーベージコレクター at 01:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月19日

リスク資産の複利シミュレーション

リスク資産の複利運用に関するシミュレーションでとても面白いブログがあったので紹介します。(この前に義経さんのブログのコメントで紹介したやつです。)

ファンドの海」というブログの「リスク資産の複利確率」の記事で、金融工学が専門でないブログ主のイーノさんが試行錯誤しながらシミュレーションを完成させていくのが、共感が持ててとても面白いです。
また、リスク資産の複利運用のシミュレーション結果もとても参考になります

特に面白かったのは、リスク資産を複利運用する場合、期待利益率がプラスでもリスクが大きい場合には運用結果がマイナスになる確率が高くなるという点です。(期待値が高いからといって目いっぱい賭けてはダメだと、このブログでもよく書いてますよね。)
これは、複利運用の場合の価格分布は対数正規分布となり、対数正規分布では(最頻値 < 中央値 < 期待値)となるからなんですね。
そして、このことをグラフで分かりやすく示しているのがすばらしいです。(「続、リスクが高まるとリターンを蝕んでいく。試せるグラフをバージョンアップ」では、期待リターンとリスクを入力するとグラフを表示してくれちゃいます。)

さらにコメントも隅々まで読んでみると、私のブログでよく出てくるケリー基準との関係についてもCOLEさんがコメントされていて、ケリー基準は中央値を大きくするにはどうすればよいかという考え方で、リスク資産のリバランスの最適比率を考察したものという意味合いのとを書かれていますね。(こことかこことかのコメント参照)
なるほど、参考になります。

ついでに、義経さんのブログのコメントに書いた話を補足しておきます。
義経さんのシミュレーションで気になったのは、
・原資産は1日経過するごとに0.5%増加あるいは減少する
という部分です。
BS式では原資産価格変動が対数正規分布、対数収益率が正規分布になるモデルなので、0.5%減少と等確率になる増加量は、1/0.995=1.005025・・・なので、0.5%よりも少し大きくなります。(0.5%増加が等確率というのは原資産価格変動が正規分布の考え方ですね。)
これは少しの違いのようですが、シミュレーション回数を増やすと差が大きくなっていきます
減少と増加が同回数の場合を考えると分かりやすいですが、
0.995^n * (1/0.995)^n
はnが大きくなっても1ですが、
0.995^n * 1.005^n
はnが大きくなると0にどんどん近付いてしまいます。
ということで、コメントでは、
「原資産価格の変動を正規分布でモデル化するか対数正規分布でモデル化するかという問題なんじゃないかな」
と書かせていただきました。

それから、義経さんが最初にシミュレーションしようとしていたことをBS式のモデルでやったとすると「ファンドの海」の記事の対数正規分布で連続複利の平均μを0として時間を経過させたものと同じなので、時間が経過するに従って、中央値はそのまま、最頻値は左へ、平均値(=期待値)は右へ動いていくと考えられます。

ということで、リスク資産の複利運用に関するシミュレーションのブログの紹介でした。
posted by ガーベージコレクター at 17:16| Comment(4) | TrackBack(0) | 投資情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月11日

投資適性テストのケリー基準による解釈

以前にチャットで出た投資適性テストを見て思い付いた話があるので書いてみます。(なお、数値については説明しやすいように実際にチャットで出た値から変更してあります。)

テスト1:あなたはどちらを選びますか?
(a) 無条件に10万円もらえる
(b) 確率80%で15万円もらえるが、確率20%で何ももらえない

まず、(a)と(b)の期待値を計算すると、(a)は10万円、(b)は12万円なので、「期待値の高い(b)を選ぶ方が投資適性がありそう」という話になっていました。

その後、

テスト2:あなたはどちらを選びますか?
(a) 無条件に1億円もらえる
(b) 確率80%で1億5千万円もらえるが、確率20%で何ももらえない

だとどうだろうという話になって、「期待値は(b)の方が高いけど(a)を選びたくなるよね」という話になっていました。

こうなる理由としては効用理論による説明が一般的なようです。
では、感情を排した理想的な投資家ならば(b)を選ぶのが正解なのでしょうか?

この現象をケリー基準を使って解釈すると、効用とか個人差のある基準を使わなくてもうまく説明できそうと思い付いたので、以下に書いてみます。

まず、ケリー基準が適用しやすいように問題を書き変えてみます。

テスト3:あなたはこの賭けをしますか?
現在の投資資金1000万円に10万円を足した状態だとして、
10万円を賭けると、確率80%で15万円もらえるが、確率20%で掛け金は没収される

これは、現在投資資金を加えた以外はテスト1で(a)ではなく(b)を選びますかということと本質的に同じです。
次に、ケリー基準を計算してみます。(計算方法については、「ケリー基準の復習」参照)

期待利益率 = (0.8*15万 - 10万) / 10万 = 0.2
増加率 = (15万 - 10万) / 10万 = 0.5
投資資金総額に対する賭け金の割合 = 期待利益率 / 増加率 = 40%

となります。
テスト3の投資資金総額は現在の投資資金1000万円に10万円を足した1010万円ですから、投資資金総額に対する賭け金の割合は、

投資資金総額に対する賭け金の割合 = 10万 / (1000万 + 10万) = 0.99% < 40%

なので、ケリー基準的には(b)を選ぶことに全く問題はありません
では、テスト2はどうなるでしょうか?

テスト4:あなたはこの賭けをしますか?
現在の投資資金1000万円に1億円を足した状態だとして、
1億円を賭けると、確率80%で1億5千万円もらえるが、確率20%で掛け金は没収される

ケリー基準の計算はテスト3と同じで、投資資金総額に対する賭け金の割合は40%になります。
テスト4の投資資金総額は1000万円に1億円を足すのですから、投資資金総額に対する賭け金の割合は、

投資資金総額に対する賭け金の割合 = 1億 / (1000万 + 1億) = 90.9% > 40%

なので、ケリー基準的には(b)を選ぶとかなりのオーバートレードになります
ということで、ケリー基準で考えると(b)よりも(a)を選びたくなるのも納得できます

ちなみに、現在の投資資金が1億5千万円として計算すると、

投資資金総額に対する賭け金の割合 = 1億 / (1億5千 + 1億) = 40%

なので、ケリー基準の範囲に収まります
つまり、ケリー基準的には現在の投資資金が1億5千万円以上の人は(b)を選ぶことに抵抗を感じる必要は無いわけですね。

ということで、ケリー基準を使って解釈すると、賭け金が大きくなるとなぜ(a)を選びたくなるかを、効用とか個人差のある基準を使わなくても現在の投資資金量と賭け金の割合でうまく説明できました。(もちろん、効用理論による説明を全面的に否定しているというわけではなく、こういう説明も考えられるよという話です。)

これを元の投資適性テストという意味で考えると、学校で教わったことをそのまま疑わずに期待値が高い(b)を常に選ぶ人よりも、自分の投資資金量によって(a)を選ぶか(b)を選ぶかを変えることができる人の方が投資適性が高いんじゃないかと私は思います。
posted by ガーベージコレクター at 20:41| Comment(4) | TrackBack(0) | 個人的意見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月21日

一番うまくいったときを基準にしない

先週までは調子が良かったのだが、今週は調子が悪かった
先週までうまくいっていたので慢心して、自分に都合のよい相場観を入れ過ぎたようだ。
以前の記事でも書いているのだが、なかなか治らない悪い癖だ。

どうも、儲かった後に一番うまくいったときを基準にしてしまって、トレードの基準が甘くなってしまうようだ。
うまくいった後ほど、トレードが荒くならないように気を付けないと
posted by ガーベージコレクター at 19:38| Comment(3) | TrackBack(0) | 今日の教訓 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月17日

オプションを売る前に「まぐれ」を読もう

最近タレブさんの「まぐれ」をもう一度読み直してみました。(タレブさんはオプション買いが好きなトレーダーさんです。)
多くの人は確率はちゃんと理解していないから、たまたま勝ったのに実力と勘違いしたり、起こる確率の小さいことを過小評価してしまったりしがち等、そうそうと共感する部分がいっぱいありますね。
このブログで以前に書いた記事だと、
  「儲かるのは運、損するのは実力
  「オプション売りって儲かりますか?
  「生き残る投資にはケリー基準が有効
とかで同じようなことを書いていますね。(ちなみに、これらの記事を書いたのは「まぐれ」を読んだのより前です。ついでに言えばリーマンショックよりも前ですね。)
オプションを買うのが好きな人は考え方が似ているのかも。
逆に、オプションを売るのが好きな人は、反対側の視点を知る意味で一度読んでおいた方がよいと思います。
「まぐれ」が面白かった人はついでに「ブラック・スワン」もどうぞ。
posted by ガーベージコレクター at 19:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月13日

屑オプションの定義について

生き残り投資には屑プットオプション買が有効」の記事で書いた屑オプションの定義で少々誤解を与えたようなので少し書いておきます。

あの記事では、「屑プットオプションとはプレミアムが一桁のプットオプションのこと」と一般的な定義のように書いていますが、あれはあくまでこのブログでの定義なんですよ。
このブログでは屑オプションについて書くことが多いのですが、その度に説明を書くのが面倒だったので勝手に定義しておきました。(誤解してしまった方、ごめんなさい。)

で、一般的にいうと「屑オプション」には決まった定義は無いです。
その人がSQ日には紙屑になると思っているオプションを「屑オプション」と言っているようです。(極端な例だと、オプション太郎さんにとってはプレミアム100円以上のオプションでも屑オプションだそうです。)

とはいえ、プレミアム一桁には何も根拠が無いかというとそうでもなくて、
・あの記事を書いた当時(2008/1/20)プレミアムの刻みが今とは違って、10円以下は1円刻み、10円以上は5円刻みと10円を境に大きく異なっていた

掲示板等で「プレミアム一桁の屑オプなんか売るもんじゃないよ。」という意見が多かった
という理由があったので、このブログではプレミアムが一桁のオプションを「屑オプション」と呼ぶことにしました。

まあ、プレミアムが一桁のオプションが屑オプだということについてはほとんどの人が同意してくれるでしょう。
でも、逆は必ずしも真ではないので、プレミアムが二桁以上のオプションを屑オプと呼んでいたからといって、それを間違いだとは言わない方がいいです。
(ちなみに、チャットではプレミアムが一桁のオプションは「ロリ」と呼ぶようですが、チャット以外でその用語を使うのも気が引けるしね。)
posted by ガーベージコレクター at 09:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月30日

チャットのブラック・ショールズ式とスマイルカーブの話で触れた本

ブラック・ショールズ式とスマイルカーブについて以前にチャットに書いたときに触れた本についてちょっと書いておきます

チャットで最近読んだ本として経済物理学の高安秀樹さんの、

を紹介しました。
この本のp.94の辺りに、
・ブラック・ショールズ式は市場変動の95%を占める小さなゆらぎの部分を近似できるが、一番大事な残りの5%の大きな変動の部分については無視している

・金融の現場ではブラック・ショールズ式をそのまま使っている人はおらず、標準偏差の値を経験に基づいて修正している(リスクを過小評価することになるため)
と書いてあります。
この標準偏差の修正がスマイルカーブになるのでしょうね。
この本は市場のモデル化とかシミュレーションした結果とかについて書いてあって面白いので、みなさんも一度読んでみては。


それからチャットで、当初はスマイルカーブ無しだったが、実際に運用しているうちにスマイルカーブが出てきたと何かの本で読んだ覚えがと書きましたが、それはこの本でした。

こちらの本は、ゴールドマン・サックスのクオンツのエマニュエル・ダーマンが物理から金融の世界に転身したお話の本ですね。
大半はダーマンさんの身の上話で、スマイルカーブの話は最後にちょっとだけ出てくるだけなので、クオンツの生活に興味のある方はどうぞ。


ついでに、チャットで増田さんの本についてガイドブックに例える話も出ていましたが、私の認識だと増田さんの本はハイキングガイドみたいなものかな。
低い山に天気が良い時にハイキングに行くにはその位でいいですが(=低レバで相場が穏やかなとき)ハイキングガイドの知識で高い山に登ったら、ちょっと天候が悪化しただけで簡単に遭難しますよね。
高い山で悪天候(=高レバで荒れ相場)でも遭難しないようにするには、それなりの知識、経験、装備が必要だと思います。
まあ、山登りの本が北アルプス縦走とかエベレストの登り方みたいな本しかなかったら、山登りを始めようという人が相当少なくなってしまうので入門用にハイキングガイドも必要でしょう。(ただし、ハイキングガイドということを認識して読まないといけませんが。)
高い山に登りたい人は、ブログ等で知識を補いましょうね。
posted by ガーベージコレクター at 21:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月23日

チャットのリクエストに答えて近況報告

オプションチャットで少し話題に出ていた(610118番あたりから)ようなので近況を書いてみます。

> 最近はどうなんですかね
> まだ信念をもって買い続けていたんだろうか?

屑オプ買い戦略はまだやっていますよ。
2009年はIVの噴きが無かったのでマイナスでしたが、今回の噴きで2009年分のマイナスを含めてもプラスになりました。(それより前は以前の記事にも書いたようにプラスです。)
ということで、屑オプ買い戦略の期待値は今のところプラスのようです。(今後もプラスかどうかはわかりませんが。)

> 問題は信念が折れないかどうか
> これは言葉で言うほど簡単じゃない

「究極のタラレバ」でも書いたように、リーマンレベルはそもそも数十年に1回位のつもりでやっているので、1年位噴かなくても全然問題無いです。

> そうそう、今ガーベージさんって言おうと思ってました。屑だけ買う方 いましたよね、って・・

少々誤解されているようですが、私は屑オプ買い戦略だけをやっているわけではありません
多数の独立した戦略を並行して行った方が収益の変動が安定すると考えているので、なるべく戦略の数は増やそうとしています
(まあ、屑オプ買い戦略は一番好きな戦略なので名前に使っていますが。)

ついでに、屑オプ買い戦略とバックスプレッドとの比較についても書いておきます。
「期待値が同じ賭けとケリー基準」でも書いたように、屑オプ買い戦略のような低勝率の損小利大戦略は勝率半々戦略に比べるとオーバートレードになりやすいので、あまり大きいポジションを持つことができません。
したがって、ベガを監視できるツールを使えて、かつ、場中に調整ができる人は、バックスプレッドの方が収益を大きくできるのではないかと思います。
逆に、ベガを監視できるツールが使えないとか、兼業で場中に調整ができない人とかは、保険型の単純屑オプ買い戦略でもいいのではと思います。

ということで、今後も生き残れるよう、みなさんがんばって行きましょうね。
posted by ガーベージコレクター at 18:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月29日

サブプライム問題での投資銀行の説明責任

ゴールドマンサックス提訴が話題になっていますね。
この提訴とは少し違いますが、以前に書いた記事(NHKスペシャル「マネー資本主義」の金融工学)の後に書こうと思っていたネタを思い出したので書いておきます。(最近更新をサボっていたので。)

投資銀行が金融工学を悪用(金融工学が悪いんじゃなくて使い方が悪いという意味ね)して、こんなふうに投資家の無知につけこんだのでは、というお話です。

話を簡単にするために、サブプライムローン債を以下のようなサイコロを使ったモデルに簡略化して考えてみます。
(1) 1個だけサイコロを振って、そのサイコロで1が出たときには無条件でデフォルトとして全額没収とする。

(2) (1)で1が出なかったらN個のサイコロを同時に振って全部のサイコロで1が出たときだけデフォルトとして全額没収、それ以外は利子付きで償還される。

このモデルは、(1)が住宅価格が下がった場合(1個のサイコロが住宅価格の上下)、(2)が住宅価格の変動が現状のままの場合(N個のサイコロが個々のサブプライムローンがデフォルトするか)をモデル化しています。(要するにサブプライムローンを借りている人は住宅価格が上がることを前提に自分の収入では返せない程高い金利で借りているので、住宅価格が下がったらみんな返せなくなるでしょというモデルです。)

そうすると、全体としてのデフォルト確率Pは、
(1)の分: 1/6
(2)の分: 5/6 × (1/6)^N

を足して、
P = 1/6 + 5/6 × (1/6)^N

になります。
ここで、Nの数(サブプライムローン債を構成するローンの数)を増やせば(2)の分はどんどん小さくできます。しかし、全体のデフォルト確率は(1)の分があるので1/6より小さくはなりません

サブプライムローン債の格付けは、住宅価格の変動は現状のままという前提条件で行っていたようなので、(2)の部分のデフォルト確率しか評価していないんですよね。
そうすると、Nの数を増やせば(2)のデフォルト確率をどんどん減らせるので、AAAの債権を作ることができるわけ。
でも、いくら(2)を減らしても(1)の分があるので、本当の全体としてのデフォルト確率はAAAには全然ならないわけですね。

で、格付けしか見ていない無知な投資家はAAA債権で利率が高いと喜んで買い投資銀行側は手数料をたくさん抜いても買ってくれるということで両者とも儲かる夢のような商品だったと。
(ちなみに、この債権のリスクは(1)の部分にあるので、住宅価格が下落したときにデフォルトする確率が高いほど(1)と(2)の差が大きくなり投資銀行側が抜ける鞘が大きくなるので、プライムローンよりもサブプライムローンの方が美味しかったのです。)

しかし、いざ地価が下がると(1)のリスクが顕在化してデフォルトしてしまったので、夢から醒めたわけです。

それで、投資銀行側の言い訳としては、金融工学によってリスクが見えにくくなっていたから仕方がなかったとか言っているようですが逆なんじゃないですかね。

上記のような金融工学によるモデル化により、(1)の住宅価格が下がった場合のリスクと、(2)の住宅価格の変動が現状のままの場合のリスクが分離されて、かえってリスクが明確になっているのにね。
投資銀行は(1)のリスクが残存しているのが分かっているくせにそれをきちんと説明せずに、(2)のリスクしか評価していない格付けを利用して安全な債権だと勘違いさせて無知な投資家に売っていたわけですよね。
金融工学から得られた結果を正直に説明すれば、
「格付けはAAAですが住宅価格が下がればデフォルトするので、借金してレバレッジをかけて住宅を買っているのと同じ程度にハイリスクで、リターンは投資銀行側がたくさん手数料を抜いているのでミドルリターンの商品ですがいかがでしょうか?」

となりますが、このように正直に説明していたら誰もサブプライムローン債なんか買わなかったでしょう。

まあ、投資銀行の情報隠しは、今叩かれているトヨタなんかとは比較にならないほど悪質だと思います。(通常の商品なら確実にリコールものですね。)
posted by ガーベージコレクター at 20:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 個人的意見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月10日

「ブラック・スワン」読みました

年末年始に時間があったので、遅ればせながらすみパパさんお薦め「ブラック・スワン」読みました
なかなか面白かったです。
  

内容は、確率的な考え方には正規分布(月並みの国)で考える方法と、ファットテイル(果ての国)で考える方法があるが、現在のように相互作用が大きくなった世界では、「果ての国」の考え方が重要だというお話ですね。
そして、大きな変化(ブラック・スワンの発見)は常に予想を超えたところで起きると。(リーマンショックとかはその一例)

オプショントレーダーとしては、いつブラック・スワンが現れても退場しないようにしておかないとね。

そうそう、このブログで以前から書いていた屑オプションを買い捨てて保険をかけながらメイン戦略で稼ぐという方法には、「バーベル戦略」という名前が付いていたのですね。(知らなかった)
posted by ガーベージコレクター at 16:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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